知っておきたい香りのこと
🌿植物と共にある循環する暮らし・・・フィトテラピー
こんにちは。
2月と言えば最も寒い月と言われますよね。近年はあまりそのように感じていませんでしたが、今年は1月からだいぶ寒波が続いているヨーロッパです。
朝晩は-6度くらいまで下がることも少なくなく、ちょっとお散歩に行くだけでも末端まで冷え込みます。こうして晴れた日には私も気持ち良く自然の中を歩くのですが、そうすると結構ジョギングをしている人も多くいます。毎日の運動を大切にしている人が多いのだな、と思う一方で、通り過ぎる時にすごく強い香水や柔軟剤、洗剤が空気に残り、昔はこんなにいろいろな香りが強かったかな、と感じることがあります。
いまや当たり前の「香り」ですが、いわゆる人工的な香料には多くの問題があります。皆さんはアロマやケア製品を選ぶ時、どのようなことに気を使っていますか?自然な香りを選ぶようにしていますか?
今回のブログでは、空気中に漂う香りから体に塗るものまで多くに使われている人工的な香りが持つ私たちの健康への作用について考えていきたいと思います。
香りの吸収ルートと香料
私たちが生活している中で自然に匂うものを総称して「香り」と呼びますが、主に鼻、肺、皮膚のルートから体の中へと取り込まれていきます。
まずは鼻。嗅覚は最も古い感覚機能であると言われており、鼻で嗅ぐことでそれが体にとって悪いものであるか、そうでないものかということを判断する手段としても備わっています。香りの分子は鼻に入ると、嗅細胞に到達し、そこから信号で脳の古い部分でもある大脳辺縁系に直接伝わります。

その速さはなんと0.2秒未満!つまり瞬時に脳に到達するということになります。また、そこは記憶や感情、自律神経などを司る器官が集中していることから、匂いは記憶と関係があるだけでなく、心身の機能にも影響を与えることが分かります。
次に肺を経由するルートです。私たちは口や鼻で呼吸をしますが、匂いを嗅いだ時にその分子が肺へ送られ、その後、肺胞を取り巻く毛細血管に入ります。すると血液と共に全身の器官へとその成分が回っていきます。実験によると、早い成分では約20分ほどで血液に浸透すると言われています。香りの成分は肝臓で処理され排泄されていきますが、特に人工的な香料の場合は、ものによって排泄されるまでに数日かかったり、脂肪の多い部分に蓄積される傾向があることも分かっています。
もう一つが皮膚です。皮膚は意外であると思う方もいるかもしれませんが、香りの分子は小さいため、皮膚の表面から吸収され、その下にある毛細血管を通じて全身へとめぐっていきます。これを利用したものとしてはアロママッサージなどがあり、エッセンシャルオイルや植物オイルを使って皮膚に塗りこまれることで体や心のケアに役立てられます。一方で、様々な人工香料などが入ったシャンプー、ケア製品、デオなどを定期的に使うことで体に思わぬ悪い影響が出ることも知っておかなくてはなりません。
全身に影響を与える人工香料
認可されている人工香料や合成香料は、想定されるだけで約3000種類あると言われており、実際にその中の300-500種類(国や地域によって誤差あり)ほどが取引されているそうです。これらは私たちが生活の中で使う洗剤、柔軟剤、ボディケア用品、化粧品、ルームフレグランス、消臭剤、香水、アロマキャンドル、更に食料品などにも使われており、近年ではこれらの「人工香料」により頭痛や吐き気、アレルギーといった不調を訴える人も増えてきました。これがいわゆる「香害」です。

私はヨーロッパに住んでいますが、特にドラッグストアに入ると気分が悪くなったり、家に帰ってからも洋服や髪の毛に着いた匂いに悩まされることがあります。混ざり合う作られた「香り」というのは、かなりの影響力を持つことを日々感じています。
人工香料や合成香料というものは、多くの場合石油化学原料をもとに作られます。自然な香りに似せて作られますが、石油由来のものは安価で早くできるため大量生産に向いています。こうして作られる香料は私たちの体に悪いだけでなく、大地にも還すことができないという多くの課題を抱えています。ここで一つ有名な有害香料を例に挙げてみたいと思います。
「合成ムスク成分」というものです。本物のムスクはジャコウジカの雄の香嚢から採取される動物由来の天然香料で、非常に温かみのある甘い香りがします。しかし高級であり、動物愛護の考え方から国際的に取引が禁止されため、作られたのが合成ムスクです。石油や植物性成分を合成して化学的に作られ、非常に長く香りが持続することが特徴です。これは香水や化粧品、石鹸などに用いられていますが、体内に入ると脂肪組織や母乳に蓄積されることが知られています。またヨーロッパでは厳格な規制を行っている「ホルモン攪乱作用」のある可能性がある物質としても懸念されています。ホルモンかく乱作用のある物質は主に体の中で自然なホルモン機能を乱し、生殖機能や免疫系に悪影響があるもので、環境ホルモンとも呼ばれ生殖器系の癌との関連性も重視されているのです。
合成香料は私たちの心や体、そして環境にも大きな負担になるものが多くありますが、それだけでなく洗剤や柔軟剤などに使われている、小さな香りの分子を包み込むマイクロカプセルにも注意をした方が良いということが近年言われています。マイクロカプセルは香料を長持ちさせるためのマイクロプラスチックで作られたカプセルで、非常に小さいため呼吸器を通して体中に影響を与える可能性があるものです。ヨーロッパでは2019年から使用を厳しく規制していますが、日本ではまだ議論の段階です。
体に塗るもの、食するもの、また吸い込むものなど、私たちの身の回りには知らず知らずのうちに健康を害しているものがたくさんあります。安く、早く手に入り、汗や体臭を抑えてくれるものとして認識されているため、まだ危険視する人は多くありませんが、こういった環境毒は長い年月をかけて確実に私たちの体に何らかの悪影響を与えていきます。特に人工的に作られた物質は、体の脂肪の多い脳や胸、子宮、前立腺、肝臓などの臓器に蓄積することが知られています。女性の場合は、母乳や羊水を通じて赤ちゃんに影響があったり、小さい子供には大人以上の働きがある可能性もあります。
暮らしの中で香りやアロマを使う際には、ぜひ健康と繋げて考えてみてください。人工香料ではなく自然界から採取される天然のエッセンシャルオイルを使用したり、オーガニックの自然なアロマを使ったケア商品や洗剤などに切り替えるだけでも、体が楽になり、心地よい生活が送れるはずです。
AMPP メディカルフィトテラピスト
Elisabeth.M