ウィーンから春のお便り

ウィーンから春のお便り

🌿植物と共にある循環する暮らし・・・フィトテラピー


太陽が丁度よくポカポカとした陽気を作り出してくれる春。冬の厳しい寒さが終わり、草木の心地よい香りが広がり始めました。私が住むオーストリアは日本の北海道と同じくらいの緯度に位置するため、日本と同じように美しい四季があります。そんな春のある日のこと、ウィーンの主要観光地でもあるシェーンブルン宮殿の庭園を散歩してきました。今日はそんなウィーンから春のお便りです。

シェーンブルン宮殿

シェーンブルン宮殿(Schloss Schönbrunn=美しい泉の宮殿)はオーストリアを代表する最大の宮殿で、観光客からも国民からも人気の地となっています。



宮殿の歴史は17世紀まで遡ります。その当時ヨーロッパを統治していたドイツ系の神聖ローマ帝国の皇帝であるフェルディナント2世の妃のために、シェーンブルン宮殿は建てられました。その後何度か再建がありましたが、最終的に18世紀にオーストリア大公妃であったマリア・テレジア(マリー・アントワネットの母)が夏の離宮として改築したのが今の形だと言われています。帝国時代には文化や政治の中心地でもあり、第一次世界大戦の終結まではオーストリア皇室の宮殿として使われていました。その後は一般向けに開放され、実際にその当時の貴族がどのような暮らしをしていたのかを見ることができます。

シェーンブルン宮殿の数ある見所の1つが、その広大な庭園です。すべて合わせると約160ヘクタール(東京ドーム34個分に匹敵)という大きさになります。その中には世界で現存する最古の動物園や植物園、多種多様な植物が栽培されているガラス温室、泉、プール等様々なアクティビティがあり、庭園内を歩くだけでもかなり満足ができるのではないかと思います。また帝国時代の権力の大きさと言うものも垣間見ることができるかもしれません。

そしてここからは、自然豊かなシェーンブルン宮殿の庭園からウィーンの春をお届けしたいと思います。



まず顔を見せてくれたのが、プリムローズ。日本ではサクラソウの名前でも知られています。通常4-5月頃に春を知らせる花をして咲くそうですが、今年はなんと3月初めから咲いていました。ウィーンは3月に入ってから一気に20度まで上がる日が多く、それによって植物たちもやや早く見頃を迎えているようです。昔からヨーロッパでは、咳を含む気管支系の症状にプリムローズの葉をハーブティーとして使用しており、観賞用としても食用としても役立てていたと言われています。



こちらの小さなお花はなんでしょう。これはヒメナズナです。4つの小さな花弁がとてもかわいらしく、ついつい写真を撮ってしまいました。ヨーロッパ原産で、非常に繁殖力が強いのが特徴です。自宅のお庭に生えていたら抜かれてしまうかもしれませんね。太陽の方を向いてとても元気に花を咲かせています。



少し歩いてみると地面に近いところに黄色い花を1つ見つけました。これはヒメリュウキンカです。春の植物の1つで、ヤマブキのようなはっきりとした黄色が目立ちます。ドイツ語ではScharbockskraut(シャーボックスクラウト)と言いますが、Scharbockは「壊血病」を意味する言葉で、ヒメリュウキンカの葉がビタミンCを豊富に含み、治療に使われていたことからこう名付けられたと言われています。ただし、花が咲く前に収穫された若葉のみが無害であり、治療用に使われるそうです。面白いですね。


ではここからは、このブログでもおなじみのリスを少し紹介したいと思います。



年中見かけるキタリスも気候と共に、更に活発になってきました。私が本格的にカメラを手に持ってリスを追いかけ始めてから10年以上になります。最初は今一習性が分からなかったのですが、最近はリスの行動や何を好むのかというのが少しだけ分かってきた気がします。



私の中での決まりごとは、リスの生活を邪魔しないように、ということ。最近は観光客が増えていることもあり、リスを追いかけまわしたり騒いだりする人たちもいるので心が痛みますが、リスが食事をしている時には静かに遠くから見守ります。するとリスも危険がないことが分かるのでしょうか。落ち着いた表情でヒマワリの種やナッツなどを黙々と食べ続けます。なんだかおいしそうだな、と思ったり。春になると毛の色や厚みにだいぶ変化が出てきますが、写真をよく見ると長い手足の指と爪を器用に使っているんですよね。片手をついて食べている姿もよく見かけます。

こうして自然の中を歩いていると様々な出会いがあり、つい時間を忘れてしまいます。そういう時間がとれることも幸せだな、と思いつつ、これから夏に向けてまたどんな出会いがあるのかとても楽しみです。

 

AMPP メディカルフィトテラピスト

Elisabeth.M (プロフィールへ

参考文献

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