
生理用品と女性の健康
🌿植物と共にある循環する暮らし・・・フィトテラピー
明日から4月が始まります。春は出会いや別れを経験することが多い時期でもあり、心とバランスが乱れやすかったりしますよね。環境や気候が安定してくるまでは、焦らずしっかりと自分の体の声を聞いて、気持ちを落ち着けてあげましょう。
さて、近年フェムテック(女性の健康課題に対して様々な技術を用いて解決を目指す)が広がり、女性の社会進出に伴うサポートとして、これまでタブーとされていた女性性や月経についても話されるようになってきました。それに伴い、女性特有の健康問題や病気(PMS、月経痛、子宮内膜症等)に関する情報も知られるようになってきたと感じています。
私自身もPMSや月経痛、無月経を経験したことがあり、フィトテラピーを学ぶ中でその根本と向き合ってきました。女性の一生は女性ホルモンによって指揮をされている、と言っても過言ではなく、その女性ホルモンが乱れることにより様々な症状が出やすくなると考えられています。その原因としてはストレス、栄養過剰・不足、運動・睡眠不足、環境ホルモンといった生活習慣や身の回りの環境の変化があり、それらを見つめなおすことで改善することも多くあるのです。そこで今回は、意外と見落とされがちな生理用品に目を向けつつ、私の実体験と共にこれからできることを考えてみたいと思います。
生理用品の歴史
現在ではどこのスーパーに行っても手に入れることのできる生理用品。パンティライナーから夜用の大きなものまで含めると、実にいろいろなものがあり、人それぞれ使うメーカーや仕様、重視することなども異なるかもしれません。今でこそ自由に選べて簡単に手に入れることのできる生理用品ですが、技術や素材が豊富になる以前は一体どのようなものだったのでしょうか。
月経は女性にとって当たり前のことであり、子孫を残すためには欠かすことのできない機能です。しかしながら「出血する」ということ自体は、昔は良くない不浄のものとして扱われていました。私はミッションスクールに通学していた時期がありますが、毎日読む聖書の中にも月経は「穢れ」として表現されていたために衝撃を受けたのを覚えています。調べてみるとこれは全世界共通だったようで、残念ながら女性の身分が低かった理由の1つでもあるのかもしれません。
生理用品の素材に関して歴史をたどってみると、昔の書物には女性たちが下着や生理用品として麻や真綿を使っていたという記録が残っています。
こういった素材はある程度の身分のある女性たちが使っていたもので、庶民の女性たちは葉や植物の繊維でしのいでいたと言われています。19世紀後半から20世紀前半になると、月経帯という脱脂綿を手拭いで覆うような形のものが海外から伝わり日本でも使われるようになりました。これを使っては洗い、使用していたそうです。
そして現代のような使い捨てナプキンが1961年に誕生しました。それまで悩みの多かった女性にとっては画期的な開発であり、昔のような「洗わなくてはいけない」というストレスや衛生面での問題も解決されていきました。
現代の生理用品の問題と私たちにできること
ここで現代の生理用品の衛生的、便利というメリットを少し横に置き、素材に注目してみたいと思います。
私が生理用品に使われる素材に気をつけるようになったのは、フィトテラピーを習い始めた頃のことです。コースの中で、現代の生理用品に使われている素材が女性の子宮を冷やし、様々な不調を生み出している可能性があるということを耳にしたのです。その素材と言うのが高分子吸収ポリマー。いわゆる石油由来のプラスチックです。経血を吸収する目的で使われている高分子吸収ポリマーは、時間と共に冷えてくるという性質があるため、知らず知らずの内に体を冷やしてしまっている可能性があるということなのです。
日本ではどちらかというとナプキンの使用が多い印象ですが、欧米ではタンポンの使用が圧倒的に主流になっています。確かに使い心地や外出時のことを考えるととても便利ですよね。しかし現在、環境や健康を重視する研究が多く、特にタンポンに使われる綿を漂白する時に発生するダイオキシンや農薬、また重金属についても危険視されるようになってきました。
ここで1つ考えたいのが、「経皮吸収」についてです。私たちの皮膚は、塗ったものや触れたものを吸収する性質があります。体の部位や皮膚の厚みによってその割合は異なりますが、腕の内側の経皮吸収率を1とすると、デリケートゾーンはその約40倍とも言われています。そうするとデリケートゾーンに触れるもの、塗られるものはたくさん吸収されている可能性があるということなのです。
少し話を戻しますが、フィトテラピーのコースを受講している際に講師の方が勧めていたのが「布ナプキン」でした。私の中では「面倒だな」とか「使いこなせるのだろうか」という疑問がすぐに浮かんだものの、講師の方は、慣れてくると経血のコントロールができるようになり量も減らせるとおっしゃっていました。
布ナプキンは重ねるタイプのもので、図のようにパチっとボタンでとめることができるようになっています。私はその当時特に女性ホルモンの問題を抱えていなかったのですが、ぜひやってみたいと思い試してみることにしました。
実際に使ってみた感想としては、長時間の外出がなければとても良いということです。上に重ねる布はいくつか用意をし、通常の生理用品と同じように使います。ただし洗わなくてはならないので、専用のボックスを用意し、時間のない時には水をためてティートリーオイルと重曹を入れて漬けておき、その後洗うといった形で使っていました。一番印象に残っているのは、経血量がはっきりと分かるため、健康状態も同時に見ることができたということです。不思議と量も減り、月経痛もなく、フィットネススタジオにも布ナプキンで言っていたほどです。これには自分でも驚きました。
とは言っても、布ナプキンは様々な事情で使えない時や使えない人もいます。そういう時には素材に気を使うだけでも良いと思います。日本でも最近見かけますが、ヨーロッパでは、オーガニックコットンの生理用品を通常の生理用品と同様に買うことができます。衛生コーナーには男女別のデリケートゾーン用ソープや布ナプキンも並んでいます。
ウィーンのオーガニックスーパーにて
もちろん高分子吸収ポリマーのようなものは一切入っていませんので、吸収率は下がります。しかし、布ナプキンと同じように自分の健康管理をきちんとすることができ、次第に体も慣れため、それまで使用していた生理用品の量よりも減ってくることすらあるのです。
上記したように、女性ホルモンや月経による不調には様々な原因がありますが、自分が意識をしていないところで体が吸収しているものにより起こっていることもあるかもしれません。今回は女性用の生理用品を挙げましたが、これは子供用のおむつや織物シート、尿漏れパッド、介護用おむつにも同じことが言えます。自分の食しているものについて考えるのと同じように、ぜひ身に着けるものの素材にも少し目を向けてみてください。長い目で見た時に、体はきっとそれに応えてくれると思います。
AMPP メディカルフィトテラピスト
Elisabeth.M (プロフィールへ)