女性の心身をケアしてくれるハーブ

女性の心身をケアしてくれるハーブ

🌿植物と共にある循環する暮らし・・・フィトテラピー


女性は一生の中で、ホルモンの変化に応じて様々なフェーズを経験します。思春期、成年期、更年期、そして老年期とその変化はまさにジェットコースター。しかしながら女性ホルモンはストレスや周りの環境の影響を受けやすいものでもあります。そんな変化と共に感じるちょっとした心や体の不調を優しくサポートしてくれるハーブをご紹介します。

 

女性ホルモンの変化

まずは少し女性ホルモンについてみてみましょう。

女性ホルモンには大きく分けて2つのホルモンがあります。1つは卵胞ホルモン、いわゆるエストロゲンです。そしてもう1つは黄体ホルモン、つまりプロゲステロンです。エストロゲンは卵巣から分泌され、女性らしい体を作る、肌に艶を与える、月経を起こす、骨の健康を保つなどの役割をしています。またプロゲステロンには基礎体温をあげる、妊娠の準備をする、乳腺を発達させるなどの働きがあります。これらが拮抗していると、活き活きと元気に過ごすことができるのです。

 

 

これらの女性ホルモンに指令を出しているのは、実は脳なのです。脳から指令が発せられることにより卵巣から女性ホルモンが出るわけなのですが、この指令を出している脳の部分はストレスの影響を受けやすい繊細なところでもあるのです。そのためストレスの量が多かったり環境の変化が大きいと、女性ホルモンも乱れやすくなり、月経の周期が不順になる、気分が重い、いろんなところが痛い、というような様々な不調が出てきてしまいます。

ハーブにはそんな女性ホルモンに似たフィトエストロゲン、フィトプロゲステロンという物質を含むものがあります。それらのハーブを上手に使うことで、ちょっとした心身の悩みを和らげることができるかもしれません。

 

女性の心身をサポートしてくれるハーブ


🌿ラズベリーリーフ



ラズベリーリーフはその名の通り、ラズベリーの葉のことを指します。ヨーロッパでは昔から女性と関係の深いハーブとして度々用いられてきました。ラズベリーリーフにはポリフェノール(タンニン/フラガリン)、ビタミン、ミネラルが含まれていますが、ポリフェノールの一種であるフラガリンという成分には子宮の周りの筋肉収縮を調整してくれる働きがあります。このため、ヨーロッパでは「安産のハーブティー」として出産の1か月前からラズベリーリーフティーが妊婦さんに推奨されています。その他にもラズベリーリーフはフィトエストロゲンやタンニンといった成分により生理痛、喉の痛み、軽い下痢などにも効果的です。

※出産前に飲用したい方はかかりつけの産婦人科医と相談の上お使いください。 

 

🌿レディースマントル



レディースマントルは何百年も女性と相性の良いハーブとして使われてきました。その昔、錬金術師たちはレディースマントルの葉に乗った水を使うと普通の金属を黄金に変えることができると信じていたそうです。そのためレディースマントルの学名は、ラテン語で錬金術を意味するalchemiaという言葉に由来したAlchemilla vulgaris(アルケミラ ブルガリス)という名前が付けられています。また葉の形が中世の女性が来ていたマントに見えることから、レディースマントルと呼ばれるようになりました。

レディースマントルには主にタンニン、フラボノイド、わずかにサリチル酸、精油などが含まれています。タンニンは皮膚や粘膜を引き締める作用に優れていることから、胃腸や口内、喉のトラブルに適しています。レディースマントルはフィトプロゲステロンを含むハーブとして知られ、月経不順や更年期の不調にもおすすめです。

 

🌿レモンバーム




レモンバームはレモングラス、レモンバーベナと並んでレモンのような爽やかな香りがするハーブの1つです。ヨーロッパではメリッセの名で知られています。ポリフェノール(タンニンを含む)、精油の相互作用により、特に神経系の緊張や頭痛、睡眠不足、胃腸トラブルによく用いられます。またプロゲステロン様作用があることから、ホルモンバランスの乱れによる諸症状にもおすすめです。

 

🌿ネトル 



イラクサの名でも知られるネトルは、ヨーロッパではそこら中に生えている植物。痛みをもたらす産毛のような細かい棘があるため、収穫の際には注意が必要ですが、ビタミンやミネラルを始めポリフェノール、クロロフィル(葉緑素)など様々な有効成分を含むとても優秀なハーブです。特に天然の色素であるクロロフィルは血液をきれいにしたり、酸化を予防する働きがあります。また貧血の予防に効果的なビタミンCと鉄分も併せ持つことから、特に月経時や貧血気味の時におすすめです。

 

🌿カモミール



カモミールティーは一般的に苦味の少ないジャーマンカモミールが用いられます。ジャーマンカモミールには様々なフラボノイド(アピゲニン、ケルセチン)、精油、マトリシン、クマリン等が含まれていますが、中でもマトリシンは鎮静や緊張の緩和に役立つ成分です。またジャーマンカモミールが持つフラボノイドは抗炎症、抗酸化作用にも優れています。イライラ、胃腸のトラブル、生理痛等、心身の様々な不調におすすめです。

 

ハーブティーの楽しみ方

 

ハーブティーはシングルリーフでもお楽しみいただけますが、他のハーブとブレンドすることでより相乗効果をあげることができます。今回は女性のためのハーブティーとして紹介した5つのハーブをブレンドしてみましょう。

1.何度も楽しめるように少し大きめの瓶を用意し、そこに5つのハーブを入れていきます。

ポイント:ラズベリーリーフのようにフィトエストロゲン作用のあるハーブを用いる場合には、必ずフィトプロゲステロン作用のあるハーブを一緒に入れましょう。

2.各ハーブを大さじ2くらいずつ入れ、瓶に蓋をしてよく振ります。

3.できたブレンドハーブティーを淹れる際には、小さじ1-2に対して熱湯を150-200mlほど注ぎ、10分ほど蒸らしてから飲みます。

ポイント:ハーブティーは空腹時に飲むのがお勧めです。

 

今回ご紹介したハーブにご興味のある方は、ぜひ各ハーブの名前をクリックしてみてくださいね。

 

 

AMPP メディカルフィトテラピスト

Elisabeth.M

 

参考文献


 

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