浄化を促すタンポポ

浄化を促すタンポポ

🌿植物と共にある循環する暮らし・・・フィトテラピー 


こんにちは。緑が一層深まり、とても美しい季節になりました。ドイツの詩人、ハインリッヒ・ハイネの詩にロベルト・シューマンがメロディーをつけた「うるわしの5月」という作品があるように、ヨーロッパでも5月は最も美しい季節とされています。晴れた日には朝早く起きて、自然の中を歩くのも良いですよね。

さて、そんなある日のこと、近くの公園を歩いていると一面に黄色い花が広がっていました。そう、タンポポです。



タンポポと言うと、庭に生えてくる厄介な雑草という印象の方が強いかもしれません。根が張り、抜こうと思ってもなかなか全部が抜けない。庭仕事の悩みの種の1つでもあります。しかし、実は昔から健康のために用いられてきた植物で、その根や葉に含まれている成分や効能を知ると、とても素晴らしい薬草の一つであるということが分かってきます。今回はそんなタンポポと私たちの体に有効である苦味成分について深めていきたいと思います。


薬草として

ダンデライオンという「ライオンの牙や歯」を意味するフランス語に由来する名前でも知られているタンポポ。古代では中国やアメリカの原住民において、また日本でも薬用として用いられていた非常に有効なハーブです。

幼い頃タンポポの茎で笛を作って遊んだことがありますが、何となく苦味が口に残ったという記憶があります。苦いものに対してはあまり良い印象がないものですが、実はその苦味に薬草としての魅力がたくさん詰まっているのです。

タンポポはキク科の植物で、古くから花も茎も葉も、そして根も食用として用いられてきました。サラダやてんぷら、煮物などの形で食べたり、葉や根は特にハーブティーの形で現在もよく飲まれています。

タンポポの葉には苦味成分やビタミン、ミネラル、特にカリウムが多く含まれており、利尿作用に優れていることから代謝を促したり、消化を良くしたり、いらないものを体からスムーズに出すために役立ちます。むくみがあったり飲みすぎが気になる方はぜひお試しください。(タンポポのお茶イッツオールグッド 休刊日のお茶



そして私が最も注目しているのがタンポポの根っこ、いわゆるダンデライオン ルートです。出会いはフィトテラピーのワンデー講座を受けた時のこと。テーマは腸ということで、実際に根っこを焙煎したハーブティーを飲んだのですが、あまりの香ばしさにすぐにファンになってしまいました。ちょっとした苦味がコーヒーと似ており、実際にカフェインを含まないタンポポコーヒーとして飲まれているものにも、この根っこが使われています。

苦味の正体はタラキサシンという成分で、胃腸の機能を促したり、肝臓を強めたり、多くの人が抱えている便秘の解消にも非常に効果的です。またイヌリンと言う食物繊維も多く含んでいることから、ビフィズス菌や乳酸菌のエサになり、腸を元気にしてくれます。特にイヌリンは、秋のタンポポの方が圧倒的に多く含まれているため、季節を選んでハーブティーにすると良いとされています。




田舎の畑などで排気ガスや農薬、動物などによって汚染されていないタンポポであれば、すぐに使うことができます。葉と根は晴天の下、2日ほど天日干しするだけでドライハーブが出来上がります。根をタンポポコーヒーにする場合には、乾燥させたものをフライパンで15-30分ほど煎り、ミキサーで攪拌して飲みます。

炒ったタンポポの根は炊飯器でご飯を炊く際に二つまみほど入れて、炊き上がったら塩を少しかけて食べるととてもおいしくいただけます。



もし家の庭や散歩道でタンポポを見つけたら、とても体に良い薬草でもあるのだということを思い出していただけたら嬉しいです。苦味成分はタンポポだけでなく、ヤロウやネトル等のハーブティー、また春の山菜にも多く含まれており、私たちの体の機能を高めてくれる働きをします。お腹がスッキリしない時やお酒を飲んだ後にはすぐに薬に頼らず、ぜひ一度自然の力を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 


AMPP メディカルフィトテラピスト

Elisabeth.M (プロフィールへ

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