シソ科のスパイス
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🌿植物と共にある循環する暮らし・・・フィトテラピー
料理をする時に風味の決め手となるスパイス。日本語では香辛料とも言いますが、実は人間と同じだけ長い歴史を持ち、様々な国や地域の産物として価値ある存在として扱われてきました。薬効は既に古くから認められており、その他にも保存料として、祭事の捧げものとして、また料理の風味付けといったような形で現在まで使われています。
スパイスには辛味、甘味、酸味、苦味のあるものなど様々ありますが、今回は暑い季節にぴったりなシソ科のスパイスであるオレガノ、マジョラム、ローズマリーをご紹介します。
シソ科の植物
植物にはそれぞれ属している科がありますが、中でもシソ科の植物は葉や茎に精油を含んでいることが多いことから、薬効も高いと言われています。
現在は3000種類以上のシソ科の植物があるとされており、特徴としては葉が交互に配置されていること、茎の断面が四角形であること、花は唇のような形をしていること等があります。
オレガノはもともと地中海原産のハーブで、7-9月頃にかけて甘い蜜を含んだ花を咲かせます。ワイルドマジョラムの名前でも知られており、現在では家庭菜園などでも簡単に作ることのできるハーブとして扱われています。
オレガノは何千年もの間薬草として、また魔除けのハーブとして用いられてきましたが、他の歴史の長いスパイスと比べると、いわゆる香辛料として使用されるようになったのは比較的最近のことです。 オレガノは香りがスパイシーで、イタリア料理、スペイン料理、ギリシャ料理などと相性が良く、地中海料理には欠かせない存在となっています。
オレガノはスパイスとしては特に食欲を増進してくれる作用が期待されます。また強い殺菌作用を持つ精油を含むことから肉・魚料理の臭い消しとしても使われます。比較的風味の強いスパイスなので、量を調整しながらお楽しみください。
マジョラムもオレガノと同様に地中海を原産とするハーブで、50cmくらいまで成長します。葉は小ぶりで楕円形をしており、ワイルドマジョラムとも呼ばれるオレガノとは見た目の違いがあります。
マジョラムは古くから、特に地中海地方の国々や北アフリカで栽培されていました。その主な使い方は脂っぽい料理に入れるスパイスとしてでしたが、マジョラムをワインにして媚薬として使用していた、という歴史もあります。その後ヨーロッパでは主に修道院などで育てられ、これが家庭菜園に発展していったと言われています。
マジョラムの主な作用は、やはり脂ものやお肉といった胃に重い料理を食べた時に消化をしやすくしてくれる作用です。そのため例えばハーブソーセージなどには欠かせない原材料となっています。また食欲をアップさせてくれたり、お腹の張りを楽にしてくれる働きも期待されます。
ローズマリーもオレガノ、マジョラムと同じ地中海原産のハーブです。モミの葉と似たような細くて硬い葉が特徴的ですが、ローズマリーもシソ科に属する植物の1つです。ローズマリーという名前はラテン語で「海の露」(Ros:露、Marinus:海)を意味する言葉で、日本語ではマンネンロウという呼び方もされます。
ハーブとしては、昔から頭をスッキリさせてくれる香りであると認識されており、特に古代ギリシャ人はローズマリーで花飾りを作り、頭に巻いていたことで知られています。また中世ではローズマリーは悪霊を追い払う植物であると信じられていたため、家の玄関に置かれたりしたとも言われています。その他にもスパイスとして、ハーブティーとして、またコスメティックにおいて役立つ植物として何千年もの間使われてきました。
ローズマリーは特に抗菌、抗酸化作用が高く、主に肉料理や魚料理に用いられます。また苦味成分を含んでいることから消化器系の機能を良くし、お腹の張りや胃もたれなどを和らげてくれる働きが期待できます。ソテーや煮込み料理、またトマト、ナスといった地中海系の野菜との相性が良いスパイスです。
今回ご紹介したスパイスにご興味のある方は、ぜひ各ハーブの名前をクリックしてみてくださいね。
AMPP メディカルフィトテラピスト
Elisabeth.M