馬の毛がもたらす快適な寝心地
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昔からブラシ、貴族のカツラ、楽器の弓等、様々な生活用品として用いられてきた馬の毛ですが、ソファやマットレスの詰め物としての使用が始まったのは、約200年ほど前のことと言われています。いわゆる馬の毛による「クッション」は、馬のたてがみや尻尾の毛に牛や豚といった動物の毛を織り交ぜて作られてきたもので、大変希少であり19世紀半ばまでは貴族以外の手に入ることはほぼありませんでした。
馬の毛を使った製品の製造
馬の毛は紡ぐことができない強く粗い毛であるため、当時集められた馬の毛は熱湯で煮詰められ、櫛できれいにとかした後、目的に応じて分類されたそうです。馬の毛を用いた製品は主にヨーロッパ、南米、オーストラリア、中国などで作られてきましたが、産業革命が起こる前まではどこの国も全ての工程を手作業で行っていました。
現在は機械と数少ないつくり手による手作業により、薬品を使わない洗浄と乾燥、そして馬の毛に縮れを出し弾力を保たせるための蒸気による処理が行われ、製品になった時に丁度よい温度と水分調整が可能な状態になっていきます。
一枚になった馬の毛のフェルトは麻ジュートに縫い付けられ、羊毛と一緒にオーガニックコットンのカバーに詰められマットレスが出来上がります。
馬の毛がマットレスとして最適な理由
このようにして古くから人間の生活を豊かにする大切な存在として扱われてきた馬の毛ですが、見た目が美しいだけでなく、現在に至るまでソファや寝室用マットレスの詰め物として愛用されてきたのには、特別な理由があるからなのです。
自然素材である馬の毛は、1本1本が細い管のような役割をしていることから通気性が高く、熱をほぼ吸収しないため温度が常に最適に調整されます。またその重さの約20%の湿度を吸収することができ、その後ゆっくりとその湿度を外気に放出してくれることから、湿り気を感じず乾いた睡眠環境を実現することができます。更に太く丈夫な馬の毛は、処理の過程で縮れが出ることにより更に弾力性が加わり、へたりにくく長く使用することができます。
馬の毛の素晴らしい特性をより長持ちさせるためには、一緒に使う寝具が同じように吸湿性や放湿性に富んだ自然素材であることが大切です。化学薬品処理されていない羊毛や綿、麻などを上手に組み合わせることで、究極の心地よい眠りが得られます。