オーストリアからのクリスマス便り
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12月も後半に入り、もうすぐクリスマス。
皆さんはクリスマスというと何を思い浮かべますか?
大きなモミの木のクリスマスツリー、ジンジャーブレッド、クリスマスマーケット、温かい羊毛の手袋・・・。
それぞれにいろんな思い出やストーリーがあることでしょう。
私にとっては家族との温かい時間の他に、幼稚園でのクリスマス会が思い浮かびます。キリスト教の幼稚園では特にクリスマスページェント(劇)をすることが多いのですが、私が3歳の時に最初に演じたのが羊の役でした。マリア様やヨセフ様、3人の博士などの重要な登場人物がある中で羊は特に目立つわけでもなく、ただいるだけでいい。そんな存在でしたが、実は人間が羊と関わりを持ち始めたのは紀元前7000年頃と言われ、非常に古い歴史があります。
羊は温厚で繊細な性格を持ち、特に群れで行動することで安心感を得られるそうです。そんな羊たちをまとめる役をしていたのが、世界最古の職業とも言われる羊飼い。聖書にも度々登場する羊は、こうして人間と共存する中で私たちの暮らしをずっと支えてきました。
中でも羊毛はいろいろな土地を移動しながら暮らしていた人間の衣類や寝具として活躍してきました。もともと獣毛には上部のヘア(丈夫で長い)と下部のウール(柔らかく短い)という部分があり、現在の羊毛(ウール)はこの両方のメリットが掛け合わされ、上質なものになっています。
またこの羊毛には保温、調湿、水をはじき汚れを寄せ付けない、柔らかく丈夫であるなどといった非常に優れた効果が備わっています。こうして羊毛は手袋や靴下、ルームシューズ、また寝具といった形で、今でも私たちの快適な暮らしを支えてくれているのです。
さて、クリスマスを迎えるにあたり、ヨーロッパでは各地でクリスマスマーケットが盛大に開催されています。オーストリアの首都ウィーンでも観光名所に露店が設けれられ、プンシュというスパイシーな温かい飲み物を片手に、地域の伝統工芸品、名産品、クリスマスのおいしいお菓子等を見て回りながら賑わう人たちでいっぱいです。
今日はそんなウィーンのクリスマス風景を少し写真でお届けします。
ウィーンで作られている鉛を使ったクリスマスオーナメント。こういったオーナメントはクリスマスが近づくと各家庭に飾られ、一気に雰囲気が変わります。
オーストリアの伝統的なお菓子。ココナッツやナッツ類、香辛料を使ったものが多くあります。
クリスマスの大切な主役として登場する羊さん。子供たちが触れ合うこともできます。
オーストリアを代表するシェーンブルン宮殿にて。クリスマスマーケットを楽しむ人々。
ドライフラワーを使ったリースやデコレーション。12月に入ると毎週日曜日にロウソクに火をともし、アドベントの時を過ごします。
そしてクリスマスマーケットの醍醐味であるプンシュ。プンシュは蒸留酒と水、シナモン、カルダモン、ジンジャー等の体が温まるスパイスがブレンドされた温かい飲み物。マーケットのメインとも言えます。また各マーケットで異なるマグカップがあり、注文するとマグカップ付きで飲み物が渡されます。飲み終わった後は返却することでマグカップ代が返金されるため、ゴミを減らすことにも繋がっています。各地でプンシュを飲んでマグカップを集めのも楽しみ方の1つかもしれません。
いかがでしたでしょうか。
今年もあともう少し。皆様にとって心温まる素敵なクリスマス、そして年末年始となりますように。